雨と風と霧と坂と

今までのロングのレースで一番ハードなバイクパートが待ち受けていようとは。
島の東部に向かう平地メインの前半60kmはひたすら追い風。時差スタートだけど、僕らのゼッケン辺りはほとんど一斉に追い出されたのでそれなりの集団になっていたけど、ペースも合わないのでどんどん追い抜いて先を急ぐ。平均速度はぐんぐん上がって60km通過時点で41km/hに達した。ほとんど50km/以上のハイスピードバトルだったもんなあ。集団を追い抜く時とか結構恐怖だった。あと所々に設定されているバンプ(自動車の速度抑制用)の衝撃もキツイ。
この調子だと5時間前半で終わるか?などと夢想したけど、目論見は甘すぎ。65kmを過ぎ、島の東端に達して、折り返して山エリアに突入した途端、追い風は見事な向かい風に。ここからは130km手前の標高500m強のピークまで60km続く登り坂。勿論途中で若干の下りっぽいのもあるはずなんだけど、斜度が緩いので風にあおられて全てが登りだった。
1時間ほど登った頃には横殴りの雨。そして韓国人のドラフティングパックに巻き込まれて神経を使う。ペースの合う同じエイジの日本人選手と少し話しながら、とにかく気持ちを切らさない様にだけ意識した。今にもくじけそうだったけど。
35kmほど登って100km地点くらいで激坂現る。痛めつけられて脚もなかったから実際は10%くらいなんだろうけど、感覚的には15%くらい。蛇行しそうだった。ちょうどそこでキャファの辻本さん率いる日本人応援団が。前半のバンプの衝撃でシートクランプが緩んでいたので辻本さんに締めなおしてもらった。ただポジションが2cm以上後ろに下がってしまったので、そこからの80kmは腰痛との闘い。
激坂が終わると5%くらいの登坂がまた10km。気がつくと今度は視界10mくらいしか見えない霧の中。一度嘔吐。
ようやくようやく130km地点から下り基調に。飛ばせる!と思ったのに霧が晴れない。視界10mで、更に横からの突風も相俟って前から落ちてくる選手を警戒しながらせいぜい40km/hがやっと。少し霧が晴れてきたので同じペースの選手を30mほど先行させて風に煽られる様子を観察しながら風に対処してようやく時速50km。
下りきって150km地点からはまた逆風。踏んでも踏んでも時速は25km近辺。ただ、大分選別された筈の周囲のペースも上がっていないので、自分の負荷を守ることだけを意識していたら少しづつ順位は上げられた。
結局もう一度気持ちよい追い風になったのはラスト10kmだけ。ハイウェイをかっ飛ばしてようやくバイクゴール。

バイク 5時間42分12秒 平均時速31.7km/h

いつもレースで絡む他の選手に聞くと、いつもよりも30分近くバイクタイムは悪かったらしい。たぶん同じコースでも天候がまともなら5時間20分くらいは出せるかなあ。

坂のランへ続く。